「なあ、ルバロの好みってどんな女性?」
いつもながら、唐突に投げられた問い掛けに、ルバロは一瞬眉根を寄せた。
「…そうだね。聡明で物静かな女性かな」
答えないと答えるまで同じ言葉が投げ掛けられるのはわかっていた。だからルバロは素直に答えた。
「ふうん」
「……」
「……」
「……」
――沈黙。
「…で?」
沈黙に耐えかねたルバロが、静かに問い返す。
「ん?『で?』って?」
「疑問に答えたのに、何かないわけ? というか、人に答えさせておいてテッドは言わない気?」
微かに怒りを滲ませ、ルバロがまくしたてる。
テッドは「ああ」と呟いてから、小首を傾げ――
「…あの焼け野原から、俺を連れ出してくれた人」
その答えに、今度はルバロが小首を傾げる。
「…ずいぶん具体的…何、初恋とか? あ、もしかして未だ想ってたり?」
ルバロの言葉に苦笑を浮かべ、テッドは肩を竦めると無言のまま部屋を出ていった。
「…ぅわ、マジ?」
後に残されたルバロは、思わず小さく呟いた。
【了】
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
数年前、携帯サイトの拍手にて御礼文として公開。
テッドの想い人については、いずれ…?