気紛れMEMO

※ネタバレ(FGOの最終再臨画像など)一切配慮せず。見たくない人は自衛でよろ(゚▽゚)ノ たまに幻水の小説など投げています。転載禁止。

【幻水4】秘密ノ尋ネ人【短編】

 日課である船内の見回りの途中。

 とても珍しいものが視界に入り、僕は思わず足を止めた。

「…テッド?」

 ぽつりと漏れた呟きに、視界の先で少年――テッドがびくりと肩を揺らす。

「あ、ごめん。驚かせちゃった?」

「…別に」

 そっけなく言い、早足に去ろうとするその背に、僕は声を掛けた。

「人探しなら、リノさんかエレノアに聞いた方が早いよ? 僕でもいいけれど」

「なっ!?」

 あれ。なんだか予想外の過剰反応。

 ぽかんとする僕に、テッドが慌てたように詰め寄ってきた。

「おま…なんで、それを…!」

「まわりの人の顔、見てたから」

 興味ないようなフリをして、伺うように。でもしっかりと、顔を確認していたから。

 答える僕に、何かを言おうと口を開き――結局、テッドは言葉を発する事無くくるりと背を向けた。

「――忘れろ」

 去り際、ぽつりと呟かれた言葉。

 追求を拒む響きに…溜め息を一つ付いた。

(意地っぱりだなぁ)

 意固地になった子どもは放置に限る。

 いずれ話してくれるかな…などと、まず叶いそうにない希望を飲み込み、僕は再び見回りを再開した。


 【了】 

 

 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

 

数年前、携帯サイトの拍手にて御礼文として公開。

無論テッドが探していたのはルバロ(坊)です。おぼろげながら覚えているテッドは、ダメ元で船内を彷徨っていたのデシタ。
放置したシエルは優しさなんだかメンドーだったのか諦めだったのか…果たしてどちらでしょうw