気紛れMEMO

※ネタバレ(FGOの最終再臨画像など)一切配慮せず。見たくない人は自衛でよろ(゚▽゚)ノ たまに幻水の小説など投げています。転載禁止。

【幻水2】晴れの日【短編】

 

 

 

 

 

 ――晴れの日は、あまり好きじゃない。

 

 

 

 


「ルックーっ!」

 …またか。

 広間に響き渡った、毎度の声。僕は不機嫌に眉間に皺を寄せる。

 ちらり、と視線を動かせば、両手を大きく振りながら大股で駆け寄ってくる軍主の姿。

 何故あんな無駄な言動が多いのだろうか。

 疑問を胸中で呟き小さく溜め息を吐く。

「ねえ、ルックも行こうよ!」

 目的地も言わず、いきなりソレ?

 頭悪過ぎ。もう少し知能を上げてほしいものだよ。

「どこへ、何しに」

 短く問い掛ける僕に、マオは満面の笑顔で答える。

「トランに、ルバロさんを迎えに!」

「絶対にイヤ」

 冗談ではない。

 僕は元々、ヒトと関わり合いになりたくないんだ。その中でも、ルバロは特に関わりたくない。

 なのに、何が楽しくて、自分からルバロに関わりに行かなきゃならないのさ。

「そんな事言わないでさ、せっかくこんないい天気なんだもん、ピクニックだと思ってどう?」

 …こいつ、今が戦時中だと理解しているんだろうか…。

 ふとそんな事を思う。

「…いい天気だから、何なのさ…」

 無意識に出た呟きに、マオが間の抜けた顔をした。

「え? 何って、何が?」

 疑問に対し疑問で返すのは会話としておかしい。いや、その前に、今のは独り言で、別に答えがほしかったものではない。

「別になんでもないよ」

「ダメだよ、ルック。疑問に思った事はちゃんと理解出来るまで聞かなくちゃ」

 そんな正論ぽい事を君に言われるなんて、気分悪くなるね。

「天気がいいから外に行くって理屈、わけがわからないんだけど」

 言わなきゃ、言うまでまとわりつかれそうな気がした。

 仕方なく、無駄と思いながら疑問を口にしてみる。

 その問いに、マオはあっさりと

「お天気いいと外で思いっきり体動かすの気持ちイイでしょ!」

 と言った。

 ますますワケがわからなかった。

「必要だから、外に行くんだろう。天気なんて関係ない。用事もないのに外に出るなんて、時間と体力の無駄じゃないか」

「ああ、ルックは体力ないもんね!」

「余計なお世話。切り裂くよ」

 笑顔で言い放つマオに、一瞬本気で切り裂きを見舞ってやろうかと考える。

「あのさ。なんでもかんでも『理屈』付けなきゃ行動しちゃダメなの?」

「…は?」

 いきなりのコトバに、不意を突かれた。

「本読んで『知』ったとしても、実際に経験してみなきゃ『理解』は出来ないんじゃない?」

 言いながら、勝手に僕の手を取り歩きだす。

 逆らう事無く歩き出す、自分の足。しかし、止まる気は起きなかった。

「たまにはお日サマの光、浴びないとね!」

 ――笑う君の顔に、太陽の陽が重なった気がした。

 

 

 

 


 晴れの日は、あまり好きじゃない。

 

 

 

 


 ――でも…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 たまには、悪くない…かも、しれない。


 【了】 

 

 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

 

知識として知ってはいても実際理解はしていない。だから、すぐ理屈付けようとするのかな。